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チャレンジドジャパン・ニュース

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CJコンサル活動報告:就労アセスメントの活用事例 -後編-

チャレンジドジャパンでおこなっている「学校コンサルテーション」。
そこで実施している就労アセスメントの活用事例を前編・後編に分けてご紹介しています。
前編は、主に自閉症スペクトラム障害(ASD)の方向けの支援手法の1つ「視覚支援」について説明しました。
後編の今回は、就労アセスメントを活用して、うまくいかなかった視覚支援をアレンジしていった事例をご紹介します。

事例「視覚支援がうまくいかない・・・!」

ある日の学校コンサルテーションにて、
その日の対象は、自閉症スペクトラム障害と知的障害がある”A君”でした。

アセスメント実施前に担任の先生とA君について以下の情報を共有しました。
文字が読めないA君のために、1週間のスケジュール表をイラストや写真で示している。
それを見て次の授業の教科書を準備したり、教室を移動する、といった自主的な行動を期待しているが、
A君はスケジュール表に目をやるものの自主的に動こうとしない。

結局は先生が「次は体育だから着替えましょう」「音楽室に移動します」と、
毎回声を掛けて行動を促す必要があり、先生曰く「視覚支援がなかなかうまくいきません」とのこと。

受動的なA君から、なんとかして“自分から動く”という行動を引き出したい!というご相談を元に、
就労アセスメントを実施しました。

A君の特性
アセスメントの結果、A君には以下のような特性が見られました。
・視覚情報の処理は得意。
・イラストや写真が示す内容を理解できる。
・注意を向けられる範囲が限られる(狭い)
・キャパシティを超える情報量を提示されると、どこを見ていいか分からなくなり迷子になる
・注目すべきポイントを強調することで注意を向けやすくなる

このような特性から、今までのスケジュール表はA君の「キャパシティを超える情報量」であり、
そのため「どこを見ていいか分からなくなり迷子」になっていた可能性が高いことが推測されました。

アセスメント結果からの提案

そこでスケジュールの提示方法について次のような提案をしました。
①1週間ではなく「1日ごと」のスケジュール表とする
②授業をイラストカードにして裏にマグネットを貼る(授業カード)
③A君の顔写真を丸いマグネットに貼る(A君マグネット)
④ 授業カードを時間割の順に上から下へ貼る
⑤次の授業へ移る時に、A君マグネットを授業カードの横に移動させる
⇒現在地を示す役割

⑥ 授業が終わるごとに、該当の授業カードを外して終了箱にしまう
⇒終わりを示す役割、目線の移動を少なくする

提案を受けてスケジュール表を改訂したところ、A君の行動に変化が見られました。

最初こそ、スケジュール表を見るように繰り返し伝える必要がありましたが、
徐々にカードをしっかり見るようになり、それらが示す意味を理解し始めました。
2週間ほどで、次の授業の準備を自分から始める姿が見られるようになりました。

そのほか、自主的にA君マグネットを移動させたり、
授業カードを終了箱にしまうなどの新しい行動も見られるようになりました。

就労アセスメントの役割

今回ご紹介したA君の事例のように、アセスメントを活用して特性を整理することで、
現在取り組んでいる支援や指導を客観的に整理・検討することができます。

CJコンサルの学校コンサルテーションでは、
障害のある生徒さんの可能性やスキルの幅を拡げるお手伝いをいたします。