上手な教え方
CJコンサルでは、特別支援学校の生徒さん向けにアセスメントを実施し、主に就労に関する課題への助言・提言をおこなっています(学校コンサルテーション)。
今回は、コンサルテーションでよく話題にあがる「教え方」に関して考えていきたいと思います。
「上手な教え方」とは
仕事の指示を出す際、相手の特性に合わせた教え方をすることが非常に重要です。
特に障害のある方への指導では、その工夫が本人の能力を最大限に引き出す鍵となります。
逆に、合わない教え方を続けると、お互いにストレスを感じるだけでなく、職場への定着を妨げる原因にもなりかねません。
では、具体的にどのような工夫が必要なのでしょうか?

「見て」学ぶ学習スタイル
発達障害の一つである自閉症スペクトラム障害には、「視覚優位」という特性を持つ方が多くいます。
これは「見て覚えること」が得意な学習スタイルです。
このような特性を持つ方には言葉だけで説明するよりも、実際に「見本を提示する」ことや「やって見せる」ことが効果的です。これらは「モデリング」と呼ばれ、指示の理解をスムーズにします。
モデリングには大きく分けて2つの方法があります。
・先行モデリング: 教える側がまず全てのお手本を見せ、その後で相手にやってもらう方法です。
・同時モデリング: 教える側と教えられる側が同時に、一つひとつの工程を確認しながら進めていく方法です。
ワーキングメモリ(作業に必要な情報を一時的に記憶する機能)に困難さがある場合、全てを一度に覚える先行モデリングでは情報量が多すぎるため、一つずつ確認しながら進める同時モデリングの方が理解しやすくなります。
「言葉での指示が中心になっていないか?」
「一度にまとめて教えていないか?」
ご自身の教え方を振り返ってみると、こうした点に気づくことがあるかもしれません。
ただし、どんな教え方が合うかは、障害名や診断名だけで判断できるものではありません。
重要なのは、まず相手の特性を正しく知ることから。つまり「アセスメント」を行うことです。
学校コンサルでは、アセスメントを通じて生徒さん一人ひとりに合った「教え方」を見つけ出し、担任の先生へお伝えしています。これからも一人でも多くの生徒さんのスキルアップに貢献していきたいと思います。