問題行動への対応策「ものを盗む」(前編)
CJコンサルでは、特別支援学校の生徒さん向けにアセスメントを実施し、主に就労に関する課題への助言・提言をおこなっています(学校コンサルテーション)。
今回は、学校コンサルテーションでご相談いただいた「問題行動」のケースの一部をご紹介します。
ものを『盗んで』しまうX君
担任の先生からのご相談です。
X君には困った行動があるそうです。それは「ものを盗むこと」です。
例えば、過去に以下のようなことがありました。
エピソード①
教卓の上に授業のプリントを置いたはずがいつの間にかなくなっている。
先生が探していると、すぐそばでX君がニヤニヤしながらこちらを見ている。
問いただすと自分の机の中からプリントを出してきた。
エピソード②
X君のクラスメイトのZ君のペンケースや水筒がいつの間にか無くなっている。
Z君が「僕のペンケース(水筒)がありません」と先生に訴えたところで、
X君が「ここ!ここにある!」と、自分が隠した場所を自分から申し出てきた。
エピソード③
X君はよく行く近所のコンビニに一人で訪れ、レジの横にあった商品を自分のカバンの中に入れた。
それを見かけた顔なじみの店員さんが家族に連絡し、家族から謝罪をして代金を支払った。

いずれの場面でも、ものを盗んだX君に対して「なぜこのようなことをしたのか?」と言い分を聞きとり、「人のものを盗むことはなぜいけないことなのか?」という理由やルールを先生や保護者から丁寧に説明したそうです。それにもかかわらず、”盗み”は繰り返されます。
担任の先生からは「人のものを盗むことをやめさせたい。”善悪の判断”を理解してもらうにはどうしたらいいか?」と、頭を抱えているところでした。
ここで一旦、考えたいこととして「”盗む”という行動は、X君にとって”どんな意味”があるのか?」という点です。
①~③のエピソードを少し違った視点で深堀りしてみます。
いずれも結果的に「盗んだ」とされていますが、見方を変えると「隠した」とも言えませんでしょうか?
また「盗んだ」後、いずれも他者(先生、クラスメイト、店員さん、保護者)との関わりが生じています。
ここまで考えたところで、担任の先生があることに気づきました。
「そういえば、”盗み”が起きる授業はだいたい同じ授業です」
「コンビニの店員さんは、小さい頃からの知り合いの人だったみたいです」
X君の”盗み”の目的は果たして・・・?次回はX君への対応策について協議した内容をご紹介します。