余暇スキルのアセスメントポイント
CJコンサルでは、特別支援学校の生徒さん向けにアセスメントを実施し、主に就労に関する課題への助言・提言をおこなっています(学校コンサルテーション)。
今回は、就労アセスメントの領域の1つである「余暇スキル」に関して、1つのケースを通じて考えていきたいと思います。
「余暇」とは自由な時間のことで、「余暇スキル」とは自由な時間を適切に過ごすためのスキルのことを言います。心身の疲労を回復させたり、ストレスがかかった状態をリフレッシュさせることができるかどうかを評価します。仕事を続けていくうえで余暇スキルは重要で、就労支援をおこなう事業所では”余暇支援”を提供する所も数多く見られます。
ここで、特別支援学校のコンサルテーションのケースをご紹介します。
知的障害と自閉症スペクトラム障害のあるAくんの例です。就労アセスメントをすることになり、担任の先生にAくんの「余暇の過ごし方」について事前に話をうかがいました。
平日は塾や英会話、ピアノなど習い事でびっしり。
休日もスポーツ観戦、キャンプ、コンサートなど外出する機会が多いとのこと。
聞けば、Aくんは一人っ子。両親、祖父母から大変かわいがられており、それぞれが色々なところへ頻繁に連れて行ってくれるそうです。
余暇の過ごし方としては理想的で問題がないように思えます。
しかしA君は就労に必要な「余暇スキルを持っている」と言えるでしょうか・・・?

就労アセスメントで「余暇スキル」を評価するポイントは以下です。
(1)様々な活動に参加することができるか
(2)余暇活動を自分で計画することができるか
(3)余暇を一人で適切に過ごすことができるか
(4)余暇を他者と適切に過ごすことができるか
Aくんは(1)と(4)はクリアしているものの、(2)と(3)は不明でした。先生曰く、Aくんのほうから「休日に○○へ行きたい」「習い事は××がしたい」と要望を言うことはなく、両親や祖父母が常に主導しており、本人は非常に”受動的”であることがわかりました。
更に、担任の先生が気になることをおっしゃっていました。
「これだけいろんな所へ行ってもらっているみたいなんですけど、なんていうか、Aくんからあまり楽しそうな話を聞かないんですよね。義務感でやってるっぽいというか・・・なんでも真面目に取り組む生徒なので・・・」。
もちろん習い事や休日が充実していることはとても良いことですし、本人にとってプラスに働いていることは沢山あると考えます。しかし一方で、「本人が主体的に選んでいる活動か」また、「その活動によって心身がリフレッシュ・リラックスできているか」ということを考えた場合、先述した(2)(3)のポイントが重要になってきます。
就労アセスメントの結果から、Aくんが「本当に好きなこと」「落ち着く活動」を学校生活や家庭生活の中で探していくことになりました。
家庭と連携して、その活動をする時間を作っていくことも指導計画に盛り込まれました。
たかが余暇、ではなく、されど余暇。
卒業後、就労を目指す生徒さんにとって、余暇スキルは就労生活を続けるうえで非常に重要なアセスメントポイントです。