『休みベタ』を卒業　心と体のメンテ術！

　

就労移行支援事業所の利用者は日々就職に向けて様々な訓練に取り組んでいます。

パソコンのスキルアップを目指して黙々と課題に取り組んだり、ビジネスマナー講座で社会人としての基礎を学んだり、グループワークを通じてコミュニケーションの練習を重ねたりと、その内容は多岐にわたります。毎日事業所に通い、決まった時間に訓練を行うことは、就職後の生活リズムを整える上でも非常に重要です。

　

しかし時に耳にするのは、「仕事をしているときは楽だけど土日の過ごし方が分からない……」、「ストレス発散の方法が分からない」という声です。

　

平日は訓練という明確な目的がありますが、休日になると急に何をすれば良いか分からなくなり、かえって時間を持て余してしまう、という方は少なくありません。また、就職への期待と同時に不安も感じる中で、知らず知らずのうちにストレスを溜め込み、どう解消すれば良いか悩んでしまうこともあります。

　

そこで必要なのが「余暇活動」です。

　

今回は余暇の必要性をお伝えします。就職後の生活を安定して長く続けていくためにも、オンとオフの切り替え、つまり上手な休日の過ごし方やストレスとの付き合い方を身につけることは大切なことなのです。

余暇がないと気分が下がりやすくなる？

　

では、なぜ余暇活動がそれほどまでに重要なのでしょうか。その答えは、私たちの体の中で起こるホルモンの働きに隠されています。

　

人間はストレスを感じ続けると、体の中で コルチゾール というホルモンが分泌されます。

コルチゾールは「ストレスホルモン」とも呼ばれますが、決して悪者というわけではありません。例えば、大事なプレゼンの前や試験前など、適度な緊張感が求められる場面で分泌されると私たちの体や脳を活動的な状態にしてくれます。

コルチゾールは短時間であれば集中力を高めたり、作業能力を高めることができるのです。

　

ただコルチゾールは長時間分泌され続けると、気分の落ち込みや不眠、免疫力の低下を招きます。

　

これが慢性的なストレス状態を招きます。

常に心身が緊張状態にあるため、夜になってもなかなか寝付けなかったり、眠りが浅くなったりします。また、免疫システムが抑制されることで風邪をひきやすくなったり、アレルギー反応が出やすくなったりすることもあります。精神面でも、やる気が出ない、何事も楽しめないといった気分の落ち込みに繋がることが知られています。

　

慢性的なコルチゾールの分泌を抑えるのに効果的なのが「人との交流」や「笑顔」、「定期的な運動」と言われています。つまりそれは「余暇」「趣味」です。

友人とカフェでおしゃべりをしたり、家族と笑い合ったりすることで、「幸せホルモン」と呼ばれるオキシトシンが分泌され、心が安らぎます。好きなコメディ映画を見て大笑いすることも良いでしょう。また、ウォーキングや軽いジョギングなどのリズミカルな運動は、気分を安定させるセロトニンの分泌を促し、心身をリフレッシュさせてくれます。

このように、意識的に楽しい時間やリラックスできる時間を持つことは、科学的にも心身の健康を保つために非常に効果的なのです。

　

余暇は「休み」ではなく、明日を元気に過ごすためのメンテナンス時間です。

　

ただ何となく時間を過ごすのではなく、心と体に栄養を与えるための積極的な活動と捉えてみましょう。車が長く安全に走るために定期的な点検やオイル交換が必要なように、私たち人間も、日々の活力を維持し、元気に働き続けるためには、余暇活動というメンテナンスが不可欠なのです。

社会生活スキル

　

チャレンジドジャパンでは、余暇や趣味を作るきっかけの一つとして、社会生活スキルという講座を用意しています。

「そうは言っても、いきなり趣味を見つけるのは難しい」「人と交流するのが苦手」と感じる方もいらっしゃるかもしれません。この講座は、そんな方々が安心して楽しみながら、余暇の過ごし方を見つけるヒントを得られる場となっています。

そこでは利用者の皆さん同士でトランプなどのカードなどを使った簡単なゲームを行ったりします。他にも、ボードゲームで戦略を練ったり、共通のテーマについて語り合ったりと、自然な形でコミュニケーションが生まれるようなプログラムを実施しています。

　

楽しむことは、決して無駄な時間ではありません。

むしろ、訓練で少し疲れた心をほぐし、新たなエネルギーを充電するために必要な時間です。講座に参加することで、他の利用者さんの意外な一面を知ったり、自分でも気づかなかった興味や関心を発見したりすることもあります。「安全な場所」で、少しずつ人との関わりや新しい活動に慣れていくことができるのが、この講座の大きなメリットです。

　

気分を整えるために、意識して行う必要のある大切な行動です。

もし今、「休日の過ごし方に困っている」「ストレスが溜まっている気がする」と感じているなら、まずは小さな一歩から、ご自身の「メンテナンス時間」を作ってみてはいかがでしょうか。

　

チャレンジドジャパンでは、事業所の雰囲気やプログラムの内容を実際に見ていただくための見学や体験も随時受け付けております。ご興味のある方はお気軽にお問い合わせください。スタッフ一同、心よりお待ちしております。