「雑用」じゃない！係活動でスキルアップ　係活動で仕事スキルを実践的に学ぼう

係活動を通して実践的なお仕事スキルを身につけよう

こんにちは。就労移行支援事業所です。

私たちの事業所では、就職に役立つ知識を学ぶための様々な講座プログラムを提供していますが、それと同じくらい大切にしているのが「係活動」です。事業所内の清掃や備品管理、掲示物の作成など、日々の運営に関わる業務を、利用者さんに係として分担していただいています。

一見すると、日々の雑務のように思えるかもしれません。しかし、この係活動こそ、講座で学んだ知識を実践し、仕事で本当に使えるスキルへと変えていくための絶好の機会なのです。今回は、係活動を通してどのようなお仕事スキルが身につくのかを詳しくご紹介します。

マニュアルを読んで理解し、期限内に業務を遂行する力

多くの係活動には、作業の手順やルールが定められた「マニュアル」が用意されています。例えば、清掃係であれば「どの場所を」「どの道具を使って」「どのような手順で」掃除するのかが記載されています。このマニュアルを正確に読み解き、書かれている通りに作業を進める力は、あらゆる職場で求められる非常に基本的なスキルです。

実際の仕事でも、初めて取り組む業務には必ずマニュアルや指示書があります。それを自己流で解釈するのではなく、内容を正しく理解し、手順を守って実行できる能力は、業務の品質を保ち、ミスを防ぐ上で不可欠です。

また、係活動には「〇日までに掲示物を完成させる」「毎日〇時までに清掃を終える」といった期限が設けられていることがほとんどです。この期限を守るために、自分のペースを考え、計画的に作業を進める経験は、納期意識や時間管理能力を養うための素晴らしい訓練となります。マニュアル通りに、かつ期限内に業務を遂行する。この一連の流れを係活動で繰り返し体験することが、確かな業務遂行能力につながっていきます。

報告・連絡・相談のスキルを実践で養う

社会人として働く上で基本中の基本とされるのが「報告・連絡・相談」、いわゆる「報連相」です。係活動は、この報連相を自然な形で実践できる貴重な場です。

作業が完了したら「〇〇の作業が完了しました」とスタッフに報告する。これは「報告」の練習です。自分の業務が終わったことをきちんと伝えることで、次の指示を受けたり、全体の進捗管理に貢献したりできます。

また、作業中に「備品が足りない」「マニュアル通りにやってもうまくいかない」といった予期せぬ出来事、つまりイレギュラーな事態が発生することもあるでしょう。そんな時、自分で抱え込まずに「〇〇で困っているのですが、どうすればよいでしょうか」とスタッフに相談することが重要です。これは「相談」のスキルです。問題を早期に共有することで、大きなトラブルになる前に対処法を学ぶことができます。

さらに、体調不良などで事業所をお休みする際には、他の係のメンバーに「明日お休みするので、〇〇の作業をお願いできませんか」と代理を依頼したり、事前に状況を共有したりする必要が出てきます。これも、職場での円滑な人間関係と業務遂行に欠かせない「連絡」と「相談」の実践です。

複数名での協働からコミュニケーションを学ぶ

係活動の多くは、一人ではなく複数名の利用者さんと協力して行います。誰がどの部分を担当するのか作業の分担を決めたり、お互いの進捗状況を確認し合ったりと、メンバー間でのコミュニケーションが必然的に発生します。

自分の意見を分かりやすく伝える力、そして相手の意見を尊重し、全体の目標達成のために協力し合う協調性は、チームで仕事をする上で絶対に欠かせないスキルです。意見が食い違った時にどう調整するか、困っているメンバーがいたらどう声をかけるかなど、係活動は生きたコミュニケーションを学ぶためのトレーニングの場となります。

また、スタッフから口頭で作業の指示を受ける場面も多くあります。メモを取りながら、指示の内容を正確に理解し、分からない点はその場で質問して確認する。こうした口頭での指示理解力も、上司や先輩とのやり取りが多い実際の職場で非常に役立つ力となります。

講座でのインプットを係活動でアウトプットする

これまでお話ししてきた、マニュアルの読解力、業務遂行能力、報連相、コミュニケーションスキルなどは、ビジネスマナー講座などの座学でも学ぶ内容です。しかし、知識として「知っている」ことと、実際に「できる」ことの間には、大きな隔たりがあります。

講座で学んだ知識（インプット）を、係活動という実践の場で実際に使ってみる（アウトプット）。このインプットとアウトプットのサイクルを繰り返すことによって、スキルは初めて自分のものとして定着し、どんな職場でも通用する確かな力となります。

係活動は、失敗を恐れずに挑戦できる安全な環境です。もしうまくいかなくても、スタッフがすぐにフォローします。ぜひ、積極的に係活動に参加して、一つひとつの業務の中に隠されている「お仕事スキル」を意識してみてください。日々の地道な活動の積み重ねが、あなたの「働きたい」という目標を達成するための、大きな一歩となるはずです。私たちスタッフも、皆さんの挑戦を全力でサポートしていきます。